【指導者向け】共通テスト2025生物基礎の要点・間違いやすいポイント | 履修していなかった先生の教え方も

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【指導者向け】共通テスト2025生物基礎の要点・間違いやすいポイント | 履修していなかった先生の教え方も

作成日:

2025/12/05

更新日:

2025/12/05

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はじめに

共通テスト「生物基礎」は、大問3問で構成されています。理系向けの「生物」と比較して基礎的な知識と思考力が問われるため、文系履修者にとっても得点源にしやすい科目です。

しかし、高校理科の専門知識が求められるため、履修していなかった先生にとっては指導のハードルが高いと感じられるかもしれません。

また、実験考察や図が多く含まれるため、正答を導くうえで時間がかかったり、新しい分野が追加されることが多かったりする科目でもあります。

そこで、この記事では、共通テスト2025生物基礎の実際の問題を使って、前提となる用語の解説はもちろん、生徒が間違えやすい「つまずきポイント」、そして「なぜ他の選択肢が間違いなのか」という厳密な正答のロジックまでをセットで解説します。

共通テストで高得点を取るための思考プロセスがつかめますので、生物基礎を受験される生徒様への指導の参考になれば幸いです。

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共通テスト2025生物基礎の解説

第1問 A(細胞の働きと遺伝情報)に関する解説

問1:細胞構造と代謝の指導法(細菌と繊毛細胞)

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • 原核細胞 / 真核細胞が持つ細胞小器官の違い

    ・細菌:核膜もミトコンドリアも持たない原核生物(原核細胞)。

    ・繊毛細胞:核とミトコンドリアを持つ真核細胞

  • 基本的に、真核細胞・原核細胞ともに同化・異化のどちらもセットでおこない、生命活動に必要なATPの生産と、そのATPを利用した細胞を構成する物質の合成をおこなう。

真核細胞・原核細胞が持つ細胞小器官

真核細胞と原核細胞の比較表
正答のロジック
  • 選択肢①:細菌も同化(タンパク質合成など)を行うため、異化のみを行うとするのは誤り。

  • 選択肢②:細菌は核膜を持たないため誤り。

  • 選択肢③:細菌は原核細胞であり、葉緑体を持たないため誤り。

  • 選択肢④:ミトコンドリアは真核細胞である繊毛細胞には存在するが、原核生物である細菌には存在しないため正しい。

2. 生徒がつまずくポイント

繊毛細胞 / 細菌では持っている細胞小器官に大きな差があるため、同化・異化といった活動にも差があると誤解しがちです。有機物などを分解してエネルギーを生み出す異化と、その生み出されたエネルギーを使って細胞の構成物質を合成する同化は、生命維持のための車輪のようなものです。基本的に、真核細胞・原核細胞ともに同化・異化のどちらもセットでおこなわれることを強調する必要があります。

問2:細胞周期とDNA量の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質(細胞周期とDNA量の対応)
  • G1期のDNA量を基準値(1)としたとき、S期(複製期)を経た後のG2期M期(分裂期)のDNA量は2倍(2)になる。

正答のロジック
  • DNA量基準の確定: 分泌細胞XはG1期でDNA量を1と基準づけています。

  • Yの判定(G2期): 基底細胞YはG2期。S期を経て複製が完了しているため、DNA量は2です。これにより、Yが1でない選択肢は除外されます。

  • Zの判定(M期): 基底細胞ZはM期の中期であり、細胞質分裂が完了するまでDNA量は複製後の2の状態を維持します。

  • 正答の根拠: 以上のことから、基底細胞YとZのDNA量はともに22であり、この組合せ(⑦)が正答となります。

  • 頻出テーマのため、下図ごとしっかり頭に入れる必要があります。

細胞周期とDNA量変化の対応図

細胞周期とDNA量変化の対応図

2.生徒がつまずくポイント

細胞周期におけるDNA量の対応は頻出テーマですが、命名規則が感覚的な理解とずれやすく、曖昧になっている生徒が多いです。G1期とG2期の同じ「G」に騙されて同じDNA量であるととらえたり、「分裂期」という名前にだまされてDNA量が半分になっているという誤解を起こさないよう強調することが重要です。

問3:遺伝情報(3塩基1アミノ酸)の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  •   DNAの塩基対(二重鎖)の情報は、mRNAの塩基(一重鎖)に転写され、3塩基が1コドンを指定し、翻訳される。

  • 終止コドンはアミノ酸を指定しないため、計算に含めない。

DNAから転写されたmRNAが翻訳され、ポリペプチド鎖が合成される様子

DNAから転写されたmRNAが翻訳され、ポリペプチド鎖が合成される様子
正答のロジック:
  • ア(正常な個体): mRNA塩基数13500。アミノ酸数:13500 ÷ 3 = 4500個。

  • イ(変異体): 3601番目の塩基から始まるコドン(3601〜3603)が終止コドンなので、翻訳はその直前3600番目の塩基までで終わる。アミノ酸数:3600 ÷ 3 = 1200個。

  • ア = 4500とイ = 1200の組合せ(②)が正答。

第1問 B(再生とエネルギー)に関する解説

問4:全能性と遺伝情報の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  •  植物の分化した細胞(根の細胞)も、体細胞分裂により増殖し、植物体のすべての組織(茎、葉、花)に再分化する能力(全能性)を持つ。これは、分化した細胞でもゲノム全体(全ての遺伝子)を保持しているため。

正答のロジック
  • 選択肢①: 生きている細胞はみな代謝をおこなっているため誤り。

  • 選択肢②: 再生した個体が花を咲かせることは、根の細胞が花の形成に必要な遺伝子を持っていること(全能性)を証明するため、正しい

  • 選択肢③, ④: 全能性があるため、DNA複製能力や分化能力を失っているとするのは誤り。

  • 選択肢⑤: 再生した芽が葉緑体を形成することは、葉緑体をつくる能力を失っていないことを証明するため、正しい

  • 選択肢⑥:根の細胞は光合成を行わないため、光を当てても酸素は発生しないため誤り。

  • 選択肢⑦: 再生は体細胞分裂によるものであり、減数分裂は関与しないため誤り。

  • 正答は②と⑤

2. 生徒がつまずくポイント

動物細胞の分化が原則不可逆的であるという知識を植物に誤って適用し、「根の細胞は一度分化したら他の細胞に分化する能力を失っている」と誤解しがちです。全能性植物細胞の最も重要な特徴の一つであることを強調する必要があります。また、は光合成を行わないため、光があたっても酸素を発生しないという、細胞レベルの基本知識の確認も必要です。

問5:呼吸によるエネルギー獲得の指導法(仮説検証実験)

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  •  再生に必要なATPは呼吸(有機物の異化)によって供給される。仮説検証の対象はO2有機物(グルコース)。

正答のロジック
  • 仮説の要素を一つずつ操作し、因果関係を明確にする対照実験のロジックで判断する。

ウ (実験1): 呼吸に必須なO2除いた大気下で芽ができないことを確認し、O2の必要性を検証する。

エ (実験2): 有機物の蓄積の重要性を検証するため、光合成を遮断し有機物生産を止めた根で比較する。

オ (実験3): 有機物の必要性を補強するため、グルコースを外部から供給した場合に芽ができるかを検証する。

ウ: O2, エ: 遮断, オ: グルコースの組合せ(③)が正しい

(誤答の判定):

  • 実験1: CO2(光合成の材料)や水銀灯(光合成を促進)は呼吸の検証にならないため誤り。

  • 実験2: 照射(光合成を促進)は有機物蓄積を減らすという目的に反するため誤り。

  • 実験3: リン酸(無機物)はエネルギー源ではないため誤り。

2. 生徒がつまずくポイント

仮説は「呼吸によってエネルギーを取り出す」ことの検証であるため、呼吸に必要なO2有機物(グルコース)が検証の対象となります。光合成に必要なCO2と混同したり、呼吸の材料であるグルコースリン酸などの無機物を混同したりする生徒が多いです。実験の目的対照実験の設計を結びつけて指導する、科学的な思考力が問われます。

第2問 A(恒常性)に関する解説

問1:自律神経と恒常性の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質(交感神経の作用)
  • 運動時は交感神経が優位になり、エネルギー獲得・O2供給系の器官(心臓、肺、肝臓)の活動を促進し、消化吸収系の器官(胃、腸)の活動を抑制する。

正答のロジック
  • 選択肢①(瞳孔の拡大)、②(気管支の拡張)、④(グリコーゲン分解促進): いずれも交感神経の作用(O2供給・エネルギー獲得促進)であり、正しい。

  • 選択肢③(ぜん動運動の促進): 副交感神経の作用であり、交感神経は抑制するため、運動時、活発になる自律神経系の働きとして適当でない(正答)。

2. 生徒がつまずくポイント

運動時(交感神経優位)に体内のすべての機能が活発になると誤解し、胃や腸のぜん動運動が促進する(実際は副交感神経の作用)と誤って判断しがちです。消化管の働きは抑制されるという事実を、エネルギーを活動に必要な器官に集中させるという論理的な理由づけとともに指導する必要があります。

問2:実験結果の解釈の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  •  「上昇率」はグラフの傾きであり、運動開始直後が最も大きく、終了直前は鈍化します。心拍数や呼吸数が高い状態は、体が必要としている酸素を多く供給しているという論理的な解釈が求められます。

正答のロジック
  • a: グラフから負荷が大きい(80%)ほど心拍数が増加していることが読み取れるため、正しい

  • b: 上昇率(傾き)は運動開始直後が最大で、終了直前(6分後)は鈍化しているため、誤り。

  • c: 心拍数と呼吸数が高い状態は、安静時よりも酸素を多く供給していると解釈するのが妥当であるため、正しい

  • d: 運動終了後(6分以降)は心拍数と呼吸数は下降しているため、誤り。

  • aとcが適当である組合せ(②)が正しい。

2. 生徒がつまずくポイント

  • 「上昇率」とはグラフの傾きのことであり、運動終了直前(6分付近)ではグラフの上昇は鈍化しています。運動開始直後 が最も上昇率が大きいことを、図から読み取れない生徒が多いです。からだに供給される血液中の酸素量については、直接の記述はなかったため注意が必要です。心拍数と呼吸数が増えていることから推測しましょう。

問3:恒常性(調節中枢と伝達)の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • 心拍呼吸の調節中枢は延髄(中枢神経)にある。

  • 自律神経系の作用は原則として意識的な調節ができない。

  • 自律神経系(神経伝達)は、内分泌系(ホルモン伝達)よりも迅速

末梢神経の分類と特徴

末梢神経の分類と特徴

神経系と内分泌系の違い

神経系と内分泌系の違い
正答のロジック
  • 選択肢①: 自律神経系は原則意識的に調節できないため誤り。

  • 選択肢②: 心拍数が増えるのは、体温が上がったときではなく下がったとき。また、副腎髄質からは内分泌系に作用するため誤り。

  • 選択肢③: 延髄が心拍の調節中枢であり、自律神経系を介して調節されるというメカニズムを正確に述べているため正しい

  • 選択肢④: 自律神経系(神経伝達)は内分泌系(ホルモン伝達)よりも迅速であるため、誤り。

2. 生徒がつまずくポイント

心拍呼吸の調節中枢が延髄(中枢神経系)にあるという基本知識が曖昧であると判断に迷います。ボクシングにおける延髄蹴りを例に出しても良いでしょう。また、体温が下がると、視床下部が寒冷を検知して交感神経を活性化し(自律神経系)、心臓を直接刺激して心拍数を増やします。同時に副腎髄質からアドレナリンが分泌され、血流を通じて、心拍増加を補助します(内分泌系)。自律神経系・内分泌系の作用を正しく理解しておく必要があります。さらに、神経伝達(自律神経系)は、ホルモン伝達(内分泌系)よりもはるかに迅速であるという、伝達速度の違いを正確に理解できていないと、④を選んでしまう生徒がいます。電気信号が化学物質による伝達より早いと考えるとイメージしやすいです。

第2問 B(免疫)に関する解説

問4:T細胞の機能の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • キラーT細胞感染細胞の直接攻撃

  • ヘルパーT細胞司令塔(活性化)。

  • B細胞が分化した抗体産生細胞(形式細胞):抗体産生

正答のロジック
  • 選択肢①: ヘルパーT細胞がキラーT細胞を活性化させる側であるため誤り。

  • 選択肢②: キラーT細胞の最も重要な機能は、病原体に感染した細胞を直接攻撃し排除することであるため正しい

  • 選択肢③: B細胞を活性化するのはヘルパーT細胞の機能であるため誤り。

  • 選択肢④: マクロファージなどの食細胞の機能であり、T細胞の機能ではないため誤り。

  • 選択肢⑤: 抗体産生細胞(B細胞由来)の機能であり、T細胞の機能ではないため誤り。

2. 生徒がつまずくポイント

  • 活性化(司令塔)を行うのがヘルパーT細胞であり、攻撃を行うのがキラーT細胞であることを混同し、誤答を選びがちです。また、抗体産生形質細胞(B細胞由来)の役割でありT細胞ではないという、細胞ごとの機能の明確な区別が曖昧だと誤ります。ヘルパー・キラーという名前からイメージすることも効果的です。

問5:予防接種と二次応答の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • 予防接種記憶細胞を作らせるのが目的。二次応答は、記憶細胞の働きにより、抗体の産生がより早く、より強く起こるという獲得免疫の原則を適用する。

一次応答と二次応答の際の時間経過と抗体の増殖量

一次応答と二次応答の際の時間経過と抗体の増殖量
正答のロジック
  • e: 二次応答獲得免疫によるものであり、好中球自然免疫)が関与しているという記述は誤り。

  • f: 迅速かつ強力な二次応答により、体内での病原体Aの増殖を防ぐことができるという、予防接種の目的を述べた記述であり正しい

  • g: 記憶細胞の働きにより、免疫応答がより早く起こるのが二次応答の最大の特徴であり正しい

  • fとgの組合せ(⑥)が正しい

2. 生徒がつまずくポイント

自然免疫(好中球)と獲得免疫(二次応答、記憶細胞)の関わりを混同し、好中球が二次応答に関与していると誤って解釈しがちです。二次応答の最大の特徴は記憶細胞による迅速性強大性であることを明確に指導することが重要です。

問6:抗体量と二次応答の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • 予防接種の効果(抗体量の増加)は、記憶細胞を持っていたか否か(過去の感染・接種経験)によって大きく左右される。年齢が高い集団ほど、記憶細胞の保有率が高く、1回目の接種が二次応答として機能しやすい。

正答のロジック
  • 選択肢①: 自然免疫(生得的なもの)ではなく、獲得免疫の結果であるため誤り。

  • 選択肢②: 免疫応答は抗原ごとに特異的に起こるため、全ての抗原に対する免疫を同時に獲得するわけではないため誤り。

  • 選択肢③: 7歳以上で1回接種後の抗体量の増加幅が大きいのは、接種前に記憶細胞を持っていた人の割合が多かったため、1回接種が二次応答として機能したからと説明するのが最も妥当であるため正しい

  • 選択肢④: 抗体の産生が促されるのは、ワクチンとして接種した病原体Bに対する抗体のみであるため誤り。

2. 生徒がつまずくポイント

グラフで7歳以上の集団が、1回接種後に抗体量が急激に増加している(3歳未満との差が大きい)事実を、二次応答の現れとして解釈できないと判断に迷います。抗体量の多さや増加は獲得免疫の結果であり、自然免疫と結びつける記述は基本的な知識の混同による誤りであることを指摘する必要があります。また、「自然免疫」「獲得免疫」の言葉の定義も再度確認させましょう。

第3問 A(生態系)に関する解説

問1:栄養段階と個体数の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • 上位の栄養段階に進むほど、生物量個体数が少なくなるという生態ピラミッドが適用できます。

正答のロジック
  • 選択肢①: 栄養段階が最上位の動物は、必然的に個体数が少なくなるという特徴が最も適当であるため正しい

  • 選択肢②: キーストーン種は生態系の維持に重要な役割を果たす種であり、特に栄養段階が最上位の動物の個体数を制限することではないため誤り。

  • 選択肢③: 最上位の栄養段階の動物は、原則として捕食者がいないため、他の動物に捕食されやすいという記述は不適当であるため誤り。

  • 選択肢④: 栄養段階が上位になるほど、一般に体サイズが大きい傾向がある生物種が多く、体サイズが小さいとするこの記述は一般論として不適当であるため誤り。

2. 生徒がつまずくポイント

  • 「キーストーン種」とは、生態系において、個体数が比較的少ないにもかかわらず、その種の存在が生態系全体の構造や多様性の維持に極めて大きな影響を与える種を指す種のことです。栄養段階の最上位の種が、キーストーン種となることが多い傾向にありますが、キーストーン種の中には栄養段階の最上位以外の種も多く含まれるので注意してください。(ラッコ、ヒトデなど)

問2:分解速度の指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  •  分解の速度は分解者(細菌・菌類)総量代謝速度に依存する。深海は低温・低酸素という環境要因により分解者の代謝が低下する。

正答のロジック
  • 選択肢a:細菌・菌類(分解者)の代謝が遅いと遺体の分解が遅くなるため適当

  • 選択肢b:遺体を消費する生物の総量が少ないと、遺体の分解が遅くなるため適当 。

  • 選択肢c:光合成を行う生物(生産者)の総量は、間接的には関わるものの直接関係しないため不適当 。

2. 生徒がつまずくポイント

「分解者の総量(b)」が少ないことだけが分解が遅い主な理由だと誤解しがちですが、低温O2不足といった環境要因による分解者(細菌・菌類)の代謝速度の低下も大きく関係していることを指導する必要があります。

問3:物質循環とエネルギーの流れの指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • エネルギーはとして一方向に放出され循環しないのに対し、物質は分解され無機物となって生産者に再利用(循環)される。

正答のロジック
  • 選択肢①: 埋められた死体の化学エネルギーは、分解者を含むほかの生物の生命活動に利用 されるという、食物連鎖におけるエネルギーの流れの基本的な記述であり正しい

  • 選択肢②: 熱エネルギーは一方向に放出されるので、ほかの生物の同化によって化学エネルギーに変換されることはないため誤り。

  • 選択肢③: 分解された無機物(CO2など)は、大気中へ放出されるため誤り。

  • 選択肢④: 燃やされた死体から放出される無機物(CO2など)は、生産者によって再利用されるため、後半の記述が誤り。

2. 生徒がつまずくポイント

熱エネルギーは、生物の同化(光合成など)によって化学エネルギーに変換されることはありません。エネルギーは最終的に熱となって放出される(一方向)という原則が理解できていないと、②を選んでしまうことがあります。エネルギーは一方的物質は循環的という、二つの流れの決定的な違いを正確に指導します。

第3問 B(バイオーム)に関する解説

問4:世界のバイオームの指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質 
  • 赤道から極に向かう緯度の変化に伴い、バイオームが変化する水平分布の配列と、それぞれの気候的特徴に適応した優占種の形質を結びつける。

正答のロジック
  • ア(雨緑樹林): 熱帯多雨林の次に位置する、乾季に落葉する広葉樹が優占(d)が適当。(e)は熱帯雨林。

  • イ(硬葉樹林): 地中海付近に位置する、夏の強い乾燥に適応した硬い葉をつける樹種が分布(g)が適当。(f)は照葉樹林。

  • ウ(夏緑樹林): 針葉樹林の前に位置する冷涼な温帯の、冬に落葉する広葉樹が優占(h)が適当。(i)はステップ。

  • ア→d 、イ→g 、ウ→ h の組合せ(③)が正しい

2. 生徒がつまずくポイント

雨緑樹林(乾季に落葉する広葉樹)と夏緑樹林(冬に落葉する広葉樹)など、似た特徴を持つバイオームの気候条件の違い(熱帯/温帯)を明確に区別できていないことが、つまずきの主要な原因となります。各バイオームを「位置」と「優占種の形」でセットで指導します。

問5:日本のバイオームの指導法

1. 指導者が押さえるべき「要点と本質」と「正答のロジック」

要点と本質
  • 日本の植生は、緯度(水平分布)と標高(垂直分布)の両方によって決まる。

  • 日本は南(沖縄の亜熱帯)から北(北海道の亜寒帯)へ向かうほど、照葉樹林 → 夏緑樹林 → 針葉樹林と寒い植生に切り替わる。  

  • 暖かい地域では寒冷な植生は山の上にしかなく、寒い地域では低地まで広がる。

正答のロジック
  • 選択肢①: 北海道の低地には針葉樹林だけでなく夏緑樹林も混在するため誤り。

  • 選択肢②: 正しい。

  • 選択肢③: 照葉樹林関東地方にも分布するため、「分布しない」という記述は誤り。

  • 選択肢④: 亜熱帯多雨林は南西諸島に限定され、九州地方にはほとんど分布しないため誤り。

2. 生徒がつまずくポイント

北海道は寒冷なイメージから「全て針葉樹林」と捉えがちですが、実際には温暖な本州に近い道南や低地の一部では夏緑樹林が混在していることに注意しましょう。

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執筆者

ライター(野口)
ライター(野口)

野口 真生

野口 真生

株式会社okkeマーケティング担当。京都大学総合人間学部/人間・環境学研究科卒。

大手家電メーカーにて新規商材・ECサイト運営を担当後、okkeに入社。

好きな動物は猫とニホンザル。

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