作成日:
2025/12/17
更新日:
2025/12/17
はじめに|共通テストで思うような結果が出ないことは、誰にでも起こりうる
共通テストは、一発勝負・マーク式という性質上、
どれだけ準備していても思わぬ失敗が起こり得ます。
本番特有の緊張やプレッシャー、マークミス、普段ならしないケアレスミスなどで、「実力通りの点数が出なかった」という受験生は毎年少なくありません。
しかし、共通テストで失敗したからといって、何も調べずにすぐに志望大学のレベルを下げてしまうのは非常にもったいない判断です。
実は国公立大学の中には、
共通テストの配点が極端に低い大学
共通テストを足切り程度にしか使わない大学
二次試験(記述式)を大きく重視する学部
が数多く存在します。
配点比率や使用科目を冷静に見直し、出願戦略をしっかり練ることで、大学のレベルを下げずに戦い続けられるケースは十分にあるのです。
この記事では、
「共通テストで失敗したあとに、目標を下げずに戦うための考え方と大学選び」を、具体例を交えて詳しく解説します。
※医学科・芸術系・その他受験資格が限られる大学は除いています。
※前期日程の中からピックアップしています。
※一部略称を含んでいます。
※二次試験配点65%以上を「二次試験配点が高い(共通テストの配点が低い)」としました。
どんな大学が「共通テスト配点が低い」のか?
まず大前提として、次の傾向があります。
偏差値が高い難関国公立大学ほど、共通テストの配点比率が低い
ただし、配点は「大学」ではなく学部・学科ごとに大きく異なる
中堅国公立大学でも、共通テスト比率が低い学科・入試方式がある
理系学部の方が、文系よりも二次試験重視になりやすい
共通テストに失敗した!でもまずはこの考え方を知ってほしい
共通テストと二次試験の“挽回倍率”を理解しよう
ここで、非常に重要な考え方があります。
共通テストの1点は、二次試験の何点分に相当するのか?というものです。
ここで、これを
挽回倍率=共通テストの配点÷二次試験の配点
と定義します。
下の表とグラフを見てください。
▼二次試験+共通テストの配点の合計を1000点としたときの、二次試験比率ごとのそれぞれの配点と、挽回倍率を表した表
二次試験比率 | 二次試験の配点 | 共通テストの配点 | 挽回倍率 |
50% | 500 | 500 | 1.0 |
55% | 550 | 450 | 1.2 |
60% | 600 | 400 | 1.5 |
65% | 650 | 350 | 1.9 |
70% | 700 | 300 | 2.3 |
75% | 750 | 250 | 3.0 |
80% | 800 | 200 | 4.0 |
85% | 850 | 150 | 5.7 |
90% | 900 | 100 | 9.0 |
▼挽回倍率と二次試験比率を表したグラフ

仮に、共通テスト+二次試験の合計が1000点の学科があるとします。
このとき、共通テストでマークミスなどにより本来より100点低い点数を取ってしまったとしましょう。
①二次比率が50%の場合は、
共通テスト1点=二次試験1点 に相当するため、
挽回倍率:1 となり、
⇒ 二次試験で100点分挽回する必要があります。
一方、②二次比率が80%の場合は、
共通テスト1点=二次4点 となるから、
挽回倍率:4 となり、
⇒共通テスト100点の失敗は、二次試験25点で挽回できるのです。
このように、 二次試験比率が75%を超えたあたりから、挽回効率は急激に高くなり、容易に共通テストの失敗の挽回が可能になります。
だからこそ、 共通テストで思うような結果が出なかった人ほど、配点比率を侮ってはいけません。
偏差値別|共通テスト配点が低い大学・学部の具体例
ここからは、実際に
「共通テスト失敗後でも、戦略次第で十分に勝負できる大学」を
偏差値帯別に見ていきます。中でも、特徴のある大学はピックアップして詳しく解説しています。
① 偏差値65以上|最難関大学ほど共通テストは軽い
主な大学
東京大学
東京科学大学
一橋大学
京都大学
大阪大学(経済学部B方式 など)
このレベルになると、共通テスト配点はかなり低めです。
ただし、二次試験の問題難易度が極めて高いため、 安易な志望変更はおすすめできません。もともとこのレベルを目指していた人が、この中で大学や学部を変更することは有効です。
東京科学大学
東京科学大学は、
共通テストを事実上「足切り」としてしか使わない、つまり足切りを超えてさえいれば共通テストの点差は関係ない、というのが最大の特徴です。
同レベル(京大・阪大理系など)を目指していた
共通テストは目標点に届かなかった
しかし、ボーダー自体は超えている
この条件が揃うなら、出願変更の選択肢として非常に有力です。
一橋大学
一橋大学は、文系学部の二次試験重視代表格です。
他大学では、理系学部は二次試験重視であっても、文系学部(法・経済など)は共通テスト配点が高いということも多いです。そのため、
トップ国公立を狙っていた
共通テストで失敗した
という文系受験生は、一橋への乗り換えも十分に検討価値ありです。
京都大学
京都大学は、全体的に二次試験重視という印象が強いですが、文系では二次試験比率がそこまで低くないため、注意が必要です。
文系
共通テスト配点が高め
法・経(文系受験)は65%未満のため除外
文学部は比較的二次比率が高い
教育・総合人間は二次重視だが定員が少ないため注意
理系
農学部は二次試験配点が低め
工・理・薬も視野に入る
特に総合人間学部は、共通テストが足切り扱いの科目が多いため、ボーダーを超えていれば切り替えの余地があります。
大阪大学
経済学部B方式は、共通テスト配点が極端に低い
その分、二次試験は重いが、関西圏の共通テスト失敗時の文系の砦となっている。
理系も全体的に二次重視ですが、京大よりは共通テスト比率が高めな傾向があります。
② 偏差値55〜64|最も“現実的に挽回しやすいゾーン”
主な大学
東北大学
千葉大学
名古屋大学
大阪大学(工・基礎工・外国語・歯)
京都工芸繊維大学 など
このゾーンの特徴は、
理系を中心に、二次比率が程よく高い
二次試験の問題が比較的素直
共通テスト失敗後でも現実的に戦える
という点です。
千葉大学
千葉大学は、首都圏の難関国公立でありながら、文理問わず二次比率65%超の学部が多数あります。
「共通テストで失敗したからランクを落とした」
ではなく、
「記述が得意な自分に有利な配点の大学に切り替えた」
と説明しやすい大学の代表例です。
③ 偏差値〜54|国公立に踏みとどまるための重要ゾーン
主な大学
秋田大学
三条市立大学
岐阜大学
山口大学
琉球大学 など
このゾーンでも、
理系中心に「二次試験重視型」の入試方式が用意されている大学が多いのが特徴です。
理系私立は学費面で厳しい
国公立をどうしても優先したい
共通テストの使用科目が少ない方式を狙いたい
という受験生には、非常に重要な選択肢になります。
岐阜大学
特に工学部は、
共通テストで失敗
それでも記述模試で偏差値50前後を維持
できていれば、十分に合格圏内に踏みとどまれる大学です。
関西・中部地方の生徒を国立大学志望から脱落させないための、極めて現実的な選択肢と言えるでしょう。
共通テスト配点が低い大学一覧表(文理別)
文系
大学 | 学部 | 学科 | 二次比率 | 得点率 | 偏差値 |
東北 | 法 | 法 | 67.2% | 7割後半 | 60~64 |
筑波 | 人文・文化 | 人文 | 65.5% | 7割後半 | 60~64 |
筑波 | 人文・文化 | 比較文化 | 65.6% | 8割前半 | 60~64 |
筑波 | 人文・文化 | 日本語・日本文化 | 67.8% | 8割前半 | 60~64 |
千葉 | 文 | 日本・ユーラシア文化 | 65.5% | 7割前半 | 55~59 |
千葉 | 法政経 | 法政経 | 65.5% | 7割半ば | 60~64 |
東京 | 文科一類 | 80.0% | 8割後半 | 65~69 | |
東京 | 文科二類 | 80.0% | 8割後半 | 65~69 | |
東京 | 文科三類 | 80.0% | 8割後半 | 65~69 | |
一橋 | 社会 | 社会 | 82.0% | 8割半ば | 65~69 |
一橋 | 法 | 法律 | 75.0% | 8割半ば | 65~69 |
一橋 | 経済 | 経済 | 79.0% | 8割前半 | 65~69 |
一橋 | 商 | 70.0% | 8割半ば | 65~69 | |
京都 | 文 | 人文 | 66.7% | 8割半ば | 65~69 |
京都 | 教育 | 教育科学文系 | 71.0% | 8割半ば | 65~69 |
京都 | 総合人間 | 総合人間文系 | 78.8% | 8割後半 | 65~69 |
大阪 | 外国語 | 全学科 | 68.0% | 7割前半~半ば | 55~65 |
理系
大学 | 学部 | 学科 | 二次比率 | 得点率 | 偏差値 |
東北 | 理 | 数学系 | 68.1% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 理 | 物理系 | 68.1% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 理 | 化学系 | 68.1% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 理 | 地球科学系 | 68.1% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 理 | 生物系 | 68.1% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 工 | 機械知能・航空工 | 67.8% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 工 | 電気情報物理工 | 67.8% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 工 | 化学・バイオ | 67.8% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 工 | 材料科学総合 | 67.8% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 工 | 建築・社会環境工 | 67.8% | 8割前半 | 60~64 |
東北 | 農 | 農 | 68.9% | 7割後半 | 60~64 |
東北 | 歯 | 歯 | 65.5% | 7割半ば | 55~59 |
東北 | 薬 | 薬 | 71.2% | 8割前半 | 60~64 |
秋田 | 情報データ科学 | 情報データ科学b理系 | 73.1% | 5割半ば | 50未満 |
秋田 | 総合環境理工 | 応用化学生物b | 65.7% | 4割後半 | 50未満 |
秋田 | 総合環境理工 | 環境数物科学b | 65.7% | 4割後半 | 50未満 |
秋田 | 総合環境理工 | 社会システム工b | 65.7% | 4割半ば | 50未満 |
千葉 | 理 | 全学科 | 65.5% | 7割前半~後半 | 55~60 |
千葉 | 工 | 全学科 | 65.5% | 7割前半~半ば | 55~60 |
千葉 | 情報・データ | 情報・データサイエンス | 65.5% | 7割後半 | 55~59 |
千葉 | 薬 | 65.5% | 8割前半 | 60~64 | |
お茶の水女子 | 理 | 数学 | 66.7% | 7割半ば | 55~59 |
東京 | 理科一類 | 80.0% | 9割前半 | 65~69 | |
東京 | 理科二類 | 80.0% | 8割後半 | 65~69 | |
東京 | 理科三類 | 80.0% | 9割前半 | 70以上 | |
東京科学 | 理 | 100.0% | 8割前半 | 65~69 | |
東京科学 | 工 | 100.0% | 8割半ば | 65~69 | |
東京科学 | 物質理工 | 100.0% | 8割前半 | 65~69 | |
東京科学 | 情報理工 | 100.0% | 8割半ば | 65~69 | |
東京科学 | 生命理工 | 生命理工学 | 100.0% | 8割前半 | 65~69 |
東京科学 | 環境・社会理工 | 100.0% | 8割半ば | 65~69 | |
東京科学 | 歯 | 歯 | 66.7% | 7割後半 | 60~64 |
岐阜 | 工 | 全学科 | 66.7% | 6割前半~後半 | 50~55 |
名古屋 | 工 | 全学科 | 67.2% | 7割後半~8割前半 | 55~60 |
名古屋工業 | 工 | 全学科 | 69.0% | 7割前半~半ば | 55~60 |
京都 | 教育 | 教育科学理系 | 71.0% | 8割半ば | 65~69 |
京都 | 経済 | 経済経営理系 | 68.4% | 8割半ば | 65~69 |
京都 | 理 | 理 | 79.6% | 8割半ば | 65~69 |
京都 | 工 | 全学科 | 78.0% | 8割前半~後半 | 60~65 |
京都 | 農 | 全学科 | 66.7% | 8割前半 | 60~65 |
京都 | 薬 | 76.1% | 8割半ば | 65~69 | |
京都 | 総合人間 | 総合人間理系 | 84.8% | 8割後半 | 65~69 |
京都工芸繊維 | 工芸科学 | 応用生物学 | 65.3% | 7割前半 | 55~59 |
大阪 | 理 | 全学科 | 69.3% | 8割前半 | 60~65 |
大阪 | 工 | 全学科 | 68.3% | 8割前半 | 60~65 |
大阪 | 基礎工 | 全学科 | 68.3% | 7割後半~8割前半 | 60~65 |
大阪 | 歯 | 歯 | 71.9% | 7割後半 | 60~64 |
神戸 | 工 | 市民工 | 65.0% | 7割後半 | 55~59 |
神戸 | 工 | 電気電子工 | 65.0% | 7割後半 | 55~59 |
神戸 | 工 | 機会工 | 65.0% | 7割後半 | 55~59 |
神戸 | 工 | 応用化学 | 65.0% | 7割半ば | 55~59 |
神戸 | システム情報 | システム情報 | 70.0% | 7割後半 | 60~64 |
神戸 | 医 | 医療創成工 理数型 | 67.4% | 7割半ば | 55~59 |
山口 | 理 | 数理科学 パターン⑤ | 76.7% | 5割半ば | 50未満 |
長崎 | 工 | 工b方式 | 70.2% | 5割前半 | 50未満 |
鹿児島 | 共同獣医 | 共同獣医b | 72.3% | 7割後半 | 60~64 |
鹿児島 | 歯 | 歯 パターンb | 71.5% | 7割前半 | 55~59 |
琉球 | 理 | 物質地球科学(物理系)パターンB | 66.1% | 5割前半 | 50未満 |
琉球 | 理 | 物質地球科学(地球環境系)パターンB | 65.5% | 4割後半 | 50未満 |
文理系
大学 | 学部 | 学科 | 二次比率 | 得点率 | 偏差値 |
千葉 | 国際教養 | 国際教養 | 65.5% | 7割前半 | 55~59 |
千葉 | 教育 | 全学科 | 67.8% | 5割後半~7割前半 | 45~60 |
千葉 | 園芸 | 全学科 | 65.5% | 6割後半~7割半ば | 55~59 |
千葉 | 看護 | 看護 | 65.5% | 6割後半 | 50~54 |
一橋 | ソーシャル・データ | ソーシャル・データサイエンス | 75.0% | 8割後半 | 65~69 |
三条市立 | 工 | 技術・経営工B | 71.4% | 4割後半 | 50未満 |
名古屋 | 教育 | 人間発達科学 | 65.5% | 7割後半 | 60~64 |
大阪 | 経済 | 経済・経営B | 90.0% | 8割半ば | 65~69 |
北九州市立 | 地域創成 | 地域創成 | 66.7% | 7割前半 | -(小論文・面接・書類選考) |
北九州市立 | 国際環境工 | 環境科学工B方式 | 66.7% | 4割前半 | 50未満 |
九州 | 共創 | 共創 | 65.6% | 7割半ば | 60~64 |
さいごに|共通テスト失敗後こそ、冷静な戦略が武器になる
共通テストで失敗すると、誰でもショックを受けます。
しかし、二次試験はすぐにやってきます。
悲観的に受け止めず、 配点・比率・科目を冷静に見直し、自分が最も納得し、戦える大学に切り替えること こそが、最善の選択です。
この記事が、 共通テスト後に迷うあなたの戦略転換の一助になれば幸いです。
二次対策もDr.okke!
Dr.okkeは、「テストを1分で作れる」ICT教材でありながら、
生徒の思考力や本質的な理解を鍛えられる良問を厳選して揃えています。
そのため、ICT教材ならではの強みである
自動採点
自動弱点分析
により、過去問と併用しつつ効率よく知識の総復習ができ、短期間で実力を伸ばしつつ、同時に、二次試験で特に重要となる思考力・記述力(答案構成力)もしっかりと鍛えられる設計になっています。
さらに、Dr.okke最大の特長である 「テストを1分で作れる」機能により、
受験期に増えがちな質問対応の負担を軽減
先生が生徒一人ひとりへの個別対応・指導に集中できる
という環境を実現します。
共通テスト後、二次試験に全力を注ぐ時期だからこそ、指導と学習の質を最大化する。
それを支えるのがDr.okkeです。
まずは最短即日開始できる無料お試しから使ってみてください!
料金・導入事例などの詳細資料のご請求はこちら
※本記事に掲載している偏差値・ボーダー等の数値情報は、河合塾「栄冠めざして2025 Vol.3」を参考に、編集・整理したものです。
最新の募集要項・配点については、必ず各大学の公式発表をご確認ください。
執筆者
株式会社okkeマーケティング担当。京都大学総合人間学部/人間・環境学研究科卒。
大手家電メーカーにて新規商材・ECサイト運営を担当後、okkeに入社。
好きな動物は猫とニホンザル。




